奏美へ。

久しぶり。ジュンヤです。覚えてるよね。
最後の個別以来かな。

まずは21歳の誕生日おめでとう。
すっかり大人の女性になったんだね。
でも、ますます綺麗になった君に会える日はもう来ないのかな。

これから先何年経っても、何十年経っても、桜が散り行き汗ばむ陽気が俺を包む季節になる度に、俺は君のことを思うだろう。
愛してた。
確かに愛してた。本気の恋だった。
そしてまだ、愛してる。

君と出会わなければ北海道の大地をこの足で踏みしてることもなかった。
君が教えてくれた。
あの白い雪景色。忘れない。

いつかきっと。
まだ俺は信じてる。
信じたいんだ。

せめて今日だけは。
君との10年の思い出に囲まれたこの部屋で、信じさせてほしいんだ。

俺とは違う誰かと恋をするのかな。
もう俺のことなんて忘れてしまったのかな？

「また来てね」
あの日のおはなし会で君がくれた言葉。
今もこの耳に響いてる。

生まれ変わったら、必ず一緒になろうね。
愛してる。奏美。
大学頑張ってね。
同じこの東京の空の下で、俺も頑張ってるから。

偶然街で君を見かけても、俺は声はかけないよ。
それが俺なりのプライドだから。

ありがとう。

奏美へ。
ジュンヤより。